迷子になるって、本当に淋しくて・・恐ろしくて・・悲しいものですね。

あれは、お祭りの夜の事でした。
さっきまでは、出かける予定なんて無かったのに、
急に父が思い立って、(祭りでも見に行くか?)って、言い出しました。
私と弟は、家族全員でのお出かけに
小躍りをして喜びました♡



それまで友達と縁日に行ったり、
親戚のお呼ばれには、行ったことはあっても、
家族全員で夜祭りになんか 行ったことがありませんでした。
縁日で、いっぱい何か買ってもらおう とか、
どんな人出かな?とか、 もうウキウキして
玄関の外でみんなを待ちました。
父が最初に出てきました。 続いて
やっとこさ 祖父母も出てきました。
(お母さん!まーだ?!!)
母は、色んな片付けがあるのです。
玄関で大声で母を呼びます。
ちょっと
おめかしをした母が急いで出てきました。
さあ出発です。(*´ω`*)父の横に並んだり、祖父母の横に並んだり
弟と、チョロチョロ動き回って、叱られます。
縁日は、家から歩いて10分ほどの商店街でやっているのです。
歩いていると太鼓や、お囃子の音が近くなってきました。

商店街に着くと母が言いました。
(迷子になるといけないで、ちゃんとそばにおるんやよ!)

私は弟としっかり手を繋ぎ、弟はもう一方の手を母と繋いでいました。
商店街の入り口からは、一気に混雑し始めて
活気がみなぎっています。
金魚すくいに、リンゴあめ、ニッキ砂糖!
(どれを買ってもらおかな?)
あ~なんて楽しいモノばかり売ってあるんだろう♡
夢中で見物していると、
いつの間にやら繋いでいた手が離れていました。(>_<)
(え?? お母さん どこ)
(お父さん!!)
(じいちゃん!)
(ばあちゃん!)
(〇〇也!)
名前を順番に呼んでみましたが、どこにもいない。
混雑をすり抜けて、商店街の終わりまで行ってみました。
そうして今度は、入口まで、、、。
2度行ったり来たりして、家族の誰も見つからないので
ドンドン不安になってきました。
人ごみの中だけれど、涙を流しながら
もう一度行ったり来たり・・・
悲しくて悲しくて・・・
もしかしたら、みんな 家に帰っているのかも?と、
家に向かいました。
太鼓や囃子の音が、 ドンドン離れていきます。
私は、おもいきり駆け足で家に帰りました。
鍵のかけていない戸を開けると
家の中は真っ暗です。
手探りで電気のひもを探し、引っ張って電気をつけました。
チカチカチカ。。。
電気がゆっくりついた途端に泣きじゃくりました。
(お母さんお父さん、どこに行ってしまったの?)
永遠に帰ってこないような、
世界に只 一人ぼっちのような、
孤独が胸に、押し寄せて 大泣きして嗚咽しました。
どれくらい経ったのでしょうか?
電話が鳴りました。
(はい、もしもし・・・・)
(百合子か?・・・・何 しとるんや~~~!!)と、
父が、怒鳴りました。
(だってー・・・)と、言って、泣きじゃくりました。
(おるんなら、いいわ! 今から帰るで待っとれよ!)
と、言って電話が切れました。
安堵で、又 涙があふれます。
ワンワン泣いていると、ほどなくみんなが帰ってきました。
弟が一番乗りです。
(ねーちゃんのバカ!何にも買ってもらえんかった!!)と、怒ります。
母も、じいちゃんも、ばあちゃんも、口々に
(なんのために行ったんかわからん!!)

(ずっと探しとったわ)

(まつりどころじゃなかったわ!)

と、言いました。
母が、(こんなに近くやで、まさか迷子なんて思わんかったけど、
家に帰っとると思わんかったわー、
迷子になったら、動いたらダメなんやよ!じっとしとらんと!)と、
言いました。
(始めに言ってほしかったな。)

家族全員の貴重なお出かけを、台無しにした私!
みんなごめんね。
今は、いい思い出です。
この時、私 中学生!
けっこう 大きい 迷子でした!
田舎の子供は、こんなもんです。( *´艸`)